令和3年分【住宅資金贈与】(住宅取得等資金の非課税)確定申告の手順/2022年版

住宅資金贈与とは

直系尊属から直系卑属へ住宅を新築したり、増改築するための資金を贈与すること

直系尊属とは父母や祖父母、直系卑属とは子供や孫を指します。
例えば、 お父さまからもらったお金を土地の購入代金に充てた場合が住宅資金贈与となります。
新築や増改築だけでなく、建売住宅や中古住宅を購入するための資金をもらった場合もそれにあたります。

お金をもらった(贈与を受けた)場合、もらった人に対して贈与税が課税されます。
1年間の贈与の総額から基礎控除や住宅資金贈与の特例における非課税贈与額を引き、残った金額に対して課税される仕組みです。
この住宅資金贈与の特例を適用するためには、贈与を受ける人が一定の条件を満たしていなければいけません。


住宅資金贈与の特例を受けるための条件とは?

住宅資金贈与の特例を受けるためには、以下8つの条件を全て満たしている必要があります。

  1. 贈与を受ける時点で、贈与を受けた人が直系卑属であること
  2. 贈与を受ける人が、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
  3. 贈与を受ける人の所得が、贈与を受けた年において年間合計2,000万円以下であること
  4. 平成21から26年分までの贈与税の申告において、「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けていないこと
  5. 取得した家屋は、贈与を受ける人の配偶者や親族などの関係者からの取得(請負契約等)ではないこと
  6. 贈与を受ける場合、贈与受けた翌年の3月15日までに住宅取得等資金の全額を住宅用の家屋の新築等に充てること
  7. 贈与を受ける人が、贈与を受ける時点で日本国内に住所があること
  8. 贈与を受ける翌年の3月15日までにその家屋に居住すること。または、居住することが確実であること

住宅資金贈与の特例の対象となる住宅用家屋とは?

また、住宅資金贈与の特例の対象となるのは日本国内の住宅用家屋で、以下3つの条件を満たしている必要があります。

  1. 新築または取得する住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  2. その家屋の床面積の半分以上に相当する部分が贈与を受けた人の居住用であること
  3. 家屋は建築後に使用されたことのない住宅用の家屋であること

中古住宅の場合の条件とは?

  1. 住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  2. その家屋の床面積の半分以上に相当する部分が贈与を受けた人の居住用であること
  3. 耐火建築物以外である場合は20年以内、耐火建築物である場合は25年以内に建築された家屋であること
  4. もしくは新耐震基準に適合していることが一定の種類により証明された家屋であること

増改築の場合の条件とは?

「増改築等の場合」の条件は 以下の通りです。

  1. 増改築後の住宅用家屋の面積が50㎡以上240㎡以下であること
  2. その家屋の床面積の半分以上に相当する部分が贈与を受けた人の居住用であること
  3. 自己が所有し、居住している家屋の増改築工事で「 確認済証の写し「 検査済証の写し」「 増改築等工事証明書」などの書類によって証明されたものであること
  4. 増改築の工事費用が100万円以上であること
  5. 増改築の工事費用の半分以上が贈与を受けた人の居住用部分の工事であること

いくらまで非課税なのか?

非課税となる額は、300万円から3,000万円で、契約を締結したタイミングによって異なります。
暦年贈与課税の基礎控除(110万円)を含めると3,110万円が最大となります。

住宅の性能や契約を締結した時点の消費税率が10%なのか8%なのか、個人間での売買なのか法人との売買なのかによっても異なりますので注意しましょう。

受贈者(財産をもらった人)ごとの住宅資金贈与の非課税限度額は以下の通りです。
住宅用家屋の建築等に係る契約の締結日とは、注文住宅の場合は工事請負契約日、建売住宅および中古住宅の場合は不動産売買契約日を指します。

■住宅用の家屋の新築等に係る対価の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の限度額

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日〜
令和2年3月31日
3,000万円2,500万円
令和2年4月1日〜
令和3年3月31日
1,500万円1,000万円
令和3年4月1日〜
令和3年12月31日
1,200万円700万円

■上記以外の場合の限度額

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
〜 平成27年12月31日1,500万円1,000万円
平成28年1月1日〜
令和2年3月31日
1,200万円700万円
令和2年4月1日〜
令和3年3月31日
1,000万円500万円
令和3年4月1日〜
令和3年12月31日
800万円300万円

確定申告をする時期

贈与を受けた年(1/1〜12/31)の翌年の2月1日から3月15日の期間中に税務署に申告することになっています。

父母や祖父母にもらったお金を住宅購入資金に充てた方は、住宅資金贈与の特例の対象になるかどうか、上述した条件を確認しましょう。
条件を満たしている場合、非課税額範囲内の贈与であっても申告は必要です。
申告をしていないと、特例を適用できずに贈与税が発生する可能性がありますので期限内に手続きを行いましょう。

贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の期間中に「確定申告」をしなければなりません。

確定申告をする方法

確定申告には以下の方法があります。

  • 税務署で確定申告書を入手し、記入して税務署に持参
  • 税務署で確定申告書を入手し、記入して税務署に郵送
  • 税務署に出向き、「確定申告書作成コーナー」でe-taxを使用して確定申告書を作成し提出
  • 国税庁のサイトで確定申告を入手し、印刷して税務署に郵送(持参)
  • 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送(持参)
  • 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、e-tax(インターネット)で申請

税務署に出向いて、税務署の職員のアドバイスをもらいながら確定申告書類を作成することもできます。

ここでご紹介するマニュアルは

「国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送(持参)」する方法です。

住宅資金贈与(住宅取得等資金の非課税)の確定申告の手順

ここで紹介している事例は、こちらです。

  • 給与所得のみの
  • 親からもらったお金を住宅資金に充て
  • 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送で提出する

方法を解説いたします。
★当てはまらない部分は、飛ばして読んでくださいね。

注意点

スマホでもOK

今回は、PCを使った操作方法などをご紹介しますが、スマホでの操作も可能です。
なお、PCとスマホでは、少々デザインが異なります。

書類印刷

また、サイト上で作成した書類を最後に印刷する必要があります。
ご自宅にプリンターがないという方でもコンビニで印刷できるプリントサービスなどがありますのでご利用ください。

「途中保存」機能

これから国税庁のサイト上で確定申告書を作成していくと、慣れないこともあって少々時間がかかります。

各項目を入力していくと

  • 資料を探しに行き、PCを離れる
  • 別の用事で作業が止まる
  • 分からないことが出て来た

などの場合、「途中保存」をしておくことをおすすめします。

「途中保存」をせずに、プラウザを閉じてしまったり、セッションが切れてしまうとやり直しになりますので注意してください。

推奨環境

また、以下の推奨環境でないと途中保存ができない、印刷できないなどの不具合が発生してしまう場合があるので事前に確認しておいた方が良さそうです。

推奨環境はこちらです。

デバイスOSバージョンブラウザ
パソコンWindows10Google Chrome
Microsoft Edge
Firefox
MacOS11Safari
スマートフォン、タブレットiOS15Safari
Android10,11Google Chrome

作成に必要な資料をそろえる

住宅資金贈与(住宅取得等資金の非課税)の確定申告を行うためには、作成に必要な資料をそろえましょう。
※税務署に提出が必要な添付書類はこちらをご参考にしてください。

作成に必要な資料一覧

#資料名
1令和3年分 給与所得の源泉徴収票
2贈与者(父母、祖父母等)の名前、生年月日
3土地の住宅(建物)の登記事項証明書 ※住宅(建物)が引き渡し前の場合、住宅(建物)の登記事項証明書は不要です。
4住宅の工事請負契約書、土地の不動産売買契約書
5マイナンバーカード、もしくは通知カード(個人番号)
6贈与を受けた日付や金額が分かる資料(預金通帳等)

確定申告書等作成コーナーを開く

国税庁のサイト「確定申告書等作成コーナー」を開く。

税務署への提出方法を選択する

「印刷して提出」をクリックする。

 

内容を確認して「利用規約に同意して次へ」をクリック。

「令和3年分の申告書等の作成」をクリック。

展開するので「贈与税」をクリック。

「贈与税の申告書を作成開始」をクリック。

 

「贈与税申告書作成開始」をクリック。

生年月日を入力し「入力終了(次へ)」をクリック。

「住宅取得等資金の非課税の適用受ける財産」をクリック。

非課税の適用要件チェック(その1)にチェックおよび入力し、「入力終了(次へ)」をクリック。

非課税の適用要件(その2)にチェックおよび入力し、「入力終了(次へ)」をクリック。

非課税の適用受ける財産を入力し、「次へ進む」をクリック。

取得財産の内容を確認し、「入力終了(次へ)」をクリック。

内容を確認し、「入力終了(次へ)」をクリック。

贈与税額を確認し、「入力終了(次へ)」をクリック。

住所、氏名等を入力し、「申告書等作成終了」をクリック。

確定申告書を印刷する

内容を確認し、「印刷表示・印刷」をクリック。PDFファイルがダウンロードでき、印刷できるようになります。

印刷した帳票(PDFファイル/参考資料)はこちらになります。
※クリックするとファイルが閲覧できます。

確定申告書を提出(郵送)する

提出が必要な書類を封筒に入れ、管轄の税務署に郵送します。
※提出が必要な書類はダウンロード資料「提出書類等のご案内」に記載

提出書類一覧(令和4年3月15日までに新築の工事が完了または取得している場合)

#書類名
1本人確認書類、以下のいずれかの書類
①マイナンバーカードの写し
②通知カードの写し+ 運転免許証や公的医療保険の被保険者証などの写し(公的医療保険の被保険者証の場合、写しの保険者番号及び被保険者等記号・番号部分を塗りつぶす)
※添付書類台紙に貼り付ける
2受贈者(財産をもらった人)の戸籍謄本など
以下を証する書類
①受贈者の氏名、生年月日
② 贈与者が受贈者(財産をあげた人)の直系尊属に該当すること
3令和3年分源泉徴収票
※令和3年分の合計所得金額を明らかにする書類
4土地の不動産売買契約書の写し、住宅の工事請負契約書の写し
以下①②③を証する書類
① 新築に係る契約または取得の相手方
② 新築または取得に係る契約の締結をした年月日
③ 新築または取得に関わる対価等の額及びこれらの額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額
5住宅の登記事項証明書、土地の登記事項証明書(いずれも写し可)
※不動産番号を申告書へ記入した場合は不要
6(省エネ住宅のみ)
いずれかの書類
a. 住宅性能証明書
b. 建設住宅性能評価書の写し
c. 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し/ 住宅用家屋証明書(その写し)または認定長期優良住宅建築証明書
d. 低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写し/ 住宅用家屋証明書(その写し)または認定低炭素住宅建築証明書
7(令和4年3月15日までに居住できない人)
新築(増改築等)後遅滞なく受贈者の居住の用に供することなどを約する書類
8(新築または取得後、直ちに居住できない人)
居住できない事情及び居住の予定行を記載した書類
9(中古住宅の場合のみ)
以下、いずれかの書類
a.耐震基準適合証明書
b.建設住宅性能証明書の写し
c.既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の締結を証する書類
※家屋の取得日前2年以内に証明、評価および締結されたもの
10(中古住宅の場合のみ)
以下、いずれかの書類
a.建築物の耐震改修の計画の認定申請書/ 耐震基準適合証明書
b.耐震基準適合証明申請書(仮申請書)/ 耐震基準適合証明書
c.建設住宅性能評価申請書(仮申請書)/ 建設住宅性能評価書の写し
d.既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書/ 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の締結の証する書類

提出書類一覧(令和4年3月15日までに新築の工事が完了に準ずる状態にある場合)

#書類名
1本人確認書類、以下のいずれかの書類
①マイナンバーカードの写し
②通知カードの写し+ 運転免許証や公的医療保険の被保険者証などの写し(公的医療保険の被保険者証の場合、写しの保険者番号及び被保険者等記号・番号部分を塗りつぶす)
※添付書類台紙に貼り付ける
2受贈者(財産をもらった人)の戸籍謄本など
以下を証する書類
①受贈者の氏名、生年月日
② 贈与者が受贈者(財産をあげた人)の直系尊属に該当すること
3令和3年分源泉徴収票
※令和3年分の合計所得金額を明らかにする書類
4土地の不動産売買契約書の写し、住宅の工事請負契約書の写し
以下①②③を証する書類
① 新築に係る契約または取得の相手方
② 新築または取得に係る契約の締結をした年月日
③ 新築または取得に関わる対価等の額及びこれらの額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額
5(令和4年3月15日において新築工事が完了に準ずる状態の場合)
新築に係る工事を請け負った建設業者などの住宅用の家屋が工事の完了に準ずる状態にあることを証する書類
6(令和4年3月15日までに居住できない人)
新築(増改築等)後遅滞なく受贈者の居住の用に供することなどを約する書類
※必要書類(登記事項証明書等)は、居住後に遅滞なく提出しなければいけません。
7(新築または取得後、直ちに居住できない人)
居住できない事情及び居住の予定を記載した書類

※「提出書類等のご案内」右下に送付先住所、名称が記載されていますので、封筒に張り付けて使用することもできます。
※なお、控用にも受付印が必要な場合は、切手を貼った返信用封筒を同封してください。

まとめ

まずは、住宅資金贈与の特例を受けるために必要な条件を満たしているか?を再確認した上で確定申告の手続きを行いましょう。
新築住宅や中古住宅、増改築工事など準備する資料が異なりますので、一覧表をもとに準備を進めましょう。
また、令和4年3月15日までに新築工事が完了していない、居住できない場合は、 さらに添付する資料がありますので忘れずに用意しましょう。
できるだけ早く手続きに取り掛かり、わからないところは最寄りの税務署に問い合わせましょう!




 

 

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