頭金なしで家を買っても良い条件は「最後まで返済すること」

マイホーム購入の時に、悩まされるのが「頭金」ではないでしょうか?

「頭金は少ないけど、すぐに家が欲しい!」「いくらくらい頭金を入れたらいいのか、、」そうお考えのあなたが知っておいた方が良い頭金のことをお伝えします。

 

1.頭金ってなに?

頭金とは、家を買う時に払える「現金」のことです。

貯金が500万円あり、200万円は手元に残し、購入のために支払う現金が300万円の場合、この300万円が頭金です。

仮に手元に500万円すべての貯金を残すとすれば、頭金は0円となります。

では、なぜ頭金は必要なんでしょうか?

 

2.頭金を支払うことで住宅ローンを借りる金額が少なくて済む

住宅ローンの借りる金額が少ないということは、月々の返済額と金融機関に支払う利息が少なくなります。

仮に3,500万円の家を買うとして、頭金を入れた場合と入れない場合を計算してみました。

【試算条件】金利:1.29%(フラット35)、返済期間:35年、返済方法:元利均等返済ボーナスなし

 

頭金の額と月々の返済額の関係はこのようになります。

頭金の額 / ローン借入額月々の返済額頭金なしとの差額
なし / 3,500万円103,600円
200万円 / 3,300万円97,680円5,920円
500万円 / 3,000万円88,800円14,800円

 

また、頭金と総返済額(元金+利息)はこのようになります。

頭金の額 / ローン借入額頭金+総返済額頭金なしとの差額
なし / 3,500万円4,351万円
200万円 / 3,300万円4,302万円49万円
500万円 / 3,000万円4,229万円122万円

 

このように頭金なしとありを比べると、月々の返済額と銀行などの金融機関に支払う利息に大きな差が出てくることが分かります。

ですので、頭金は入れた方が良いと言われています。

 

3.やはり頭金を貯めてから購入するべきなのか

 

頭金は多い方が良いということが上記の計算で分かり、やはり頭金をじっくりと貯めてからマイホーム購入を進めた方が良さそう、、

しかし、現在の住宅ローン金利情勢を考えてみると、一概にそうとも限りません。

現在の住宅ローン金利は、過去を振り返っても非常に低い水準です。

そして今後の金利は、今以上下がる可能性は考えにくく、当面変わらないか、上がる可能性の方が高いと言えます。

住宅ローン金利が何%になるかは誰にも分かりませんが、金利上昇の可能性をふまえて考えると少し違った見方ができます。

代表的な住宅ローンであるフラット35は、過去に3か月で0.25%上昇したことがあり、この金利上昇の局面での頭金について考えてみたいと思います。

例えば、3,500万円の物件を「今スグ」頭金なしで購入した場合の月の返済額と利息は次のようになります。

【試算条件】借入額:3,500万円、金利:1.29%、返済期間:35年

金利頭金借入額月々返済額頭金+総返済額
1.29%なし3,500万円103,600円4,351万円

 

では仮に、フラット35の過去の金利のように”3か月で0.25%上昇”したとすればこのような試算結果となります。

金利頭金借入額月々返済額頭金+総返済額
1.54%なし3,500万円107,851円4,529万円

金利が0.25%上昇するだけで、頭金+総返済額の差は、178万円。

「1.29%の時に買っておけばよかった、、、」となりますが、3か月後の金利を予測することは難しいことです。

 

ここで考えたいのは、3か月後に0.25%上昇するとして、いくらの頭金を入れれば上昇する前の金利1.29%と同じ頭金+総返済額になるのでしょうか。

もし、3か月で50万円貯めて、頭金として入れたとしたらこのようになります。

 

金利頭金借入額月々返済額頭金+総返済額
1.54%50万円3,450万円106,310円4,515万円

 

月に約16万円、3か月で50万円貯めて頭金として入れても、金利が1.29%から1.54%に上昇すると頭金+総返済額の差は「約164万円」。

50万円の頭金を入れてもなお、1.29%頭金なしの方がお得になるんですね。

 

では、いくらの頭金を入れれば、上昇する前の1.29%の時と同じ頭金+総返済額になるんでしょうか、、

答えはこちらです。

金利頭金借入額月々返済額頭金+総返済額
1.54%604万円2,895万円89,208円4,351万円

 

金利頭金借入額月々返済額頭金+総返済額
1.29%なし3,500万円103,600円4,351万円

 

なんと、頭金を604万円入れて、1.29%頭金なしとほぼ同じ金額になしました。

3か月で604万円、ひと月200万円、、さすがに無理です、、。

 

4.頭金なしで家を買っても良い条件

 

このように住宅ローン金利1.29%と1.54%の金利差0.25%を埋めるためには、604万円の頭金が必要という計算になります。

計算例のように、”3か月でフラット35の金利が0.25%上昇するということ”は考えにくいかもしれませんが、超低金利情勢の今、「時間をかけてじっくりと頭金を貯める」という考え方は当てはまらないかもしれません。

 

一方で購入する物件が新築の場合、購入後の価値が下がってしまうことも考えておくことも重要です。

購入直後に何らかの事情で売却するとなったときの売却価格は、(建物価格の)約20%下がると考えておきましょう。市場では、”中古物件”となり価値が下がるためです。

頭金なしで購入して直後に売却となれば、売却したお金だけで住宅ローンの借入金を完済できず、手持ちの貯金を充てなければ売却できません。頭金なしで購入することは、このようなリスクを含んでいることを忘れてはいけません。

頭金なしでも物件の購入は可能ですが、”手元に現金がない”状態でのスタートはとても危険だということは、よく理解しておくべきです。

 

頭金なしで買っても良い条件とは、「購入した物件を売却せずに、住宅ローンを最後まで返済すること」、つまるところ、「超長期の住宅ローンを滞りなく完済する計画を立てることが条件」と言えます。

 

 

 

 

 

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