つなぎ融資って何?

注文住宅を建てる際には、『つなぎ融資』を利用するケースがあります。
あまり聞きなれない言葉だと思いますが、住宅購入シーンでは便利で必要不可欠な仕組みです。
さて今回は、そのつなぎ融資について解説したいと思います。

1.つなぎ融資とは?

つなぎ融資とは、その名のとおり、住宅ローンの融資実行までをつなぐための融資です。

一般的に住宅ローンが融資実行されるタイミングは、建物が完成し、所有者があなたになる日です。打合せなどでは「引き渡し日」と表現されます。
具体的には、住宅ローンで3,000万円を借りる場合だと、ABC銀行からあなたの銀行口座に3,000万円が入金され、住宅会社などに代金を支払う日のことを言います。

注文住宅の場合、この引き渡し日までにいくつかの「支払い」が必要なケースがほとんどで、住宅ローン融資実行までの支払いをつなぐ目的でつなぎ融資を利用することになり、住宅ローンが融資実行されたタイミングで完済する融資、これが『つなぎ融資』です。

2.引渡し日までにどんな支払いがあるの?

では、引き渡し日までにどのような「支払い」があるのかを確認しましょう。
土地から購入して注文住宅を検討している場合は、一般的には、支払うタイミングは、以下のように3回あります。

2-1. 土地購入時

さきに手付金を差し引いた残りの代金を支払うタイミング、つまり土地の購入時です。
建物の工事を始める前に土地があなたの所有物になっている必要があります。
土地の売買契約後、代金を売り主に支払い、登記を行うことで、その土地が始めてあなたの所有物となります。
仮に土地価格が1,000万円で売買契約時に手付金100万円を支払っている場合は、残りの代金900万円を支払います。

2-2. 建物着工時

土地の所有者になれば、住宅会社は工事準備入ります。これから発生する材料費や人件費などの資金が必要になるため「着工金」を請求されます。
一般的に着工金は、建物工事代金の30%が目安となります。建物工事代金が2,000万円であれば600万円ということになります。

2-3. 上棟時

上棟(じょうとう)とは、木造住宅の場合は柱や梁(はり)などの基本構造が完成し、見た目も屋根がついて家らしくなることを指し、棟上げ(むねあげ)とも呼ばれます。
また、鉄骨構造でも基本的な骨組みが完成した場合を上棟として扱うことが多いです。
この上棟のタイミングで上棟(中間)金を支払います。金額は、着工金と同じ建物工事代金の30%とする場合が多く、こちらも建物工事代金が2,000万円であれば、600万円なります。
住宅会社によっては、着工金はなく、上棟(中間)金が建物工事代金の50%とする場合もあります。

3.つなぎ融資にかかるコスト

上記のように引き渡し日までに主に3回の支払いがあることをお伝えしました。
建物工事代金によりますが、合計すると2,700万円以上の資金となり現金で支払える方は少ないかもしれませんね。

そこで「つなぎ融資」を利用することになります。
つなぎ融資は、上記の各タイミングで融資実行され、大金を支払わなくても土地の購入や建築工事を進めていくことができるとても役に立つ融資の仕組みです。
しかし、その便利なつなぎ融資には、コストがかかりますのでそちらも確認してみましょう。
主に2つのコストがかかりますので確認していきましょう。

3-1.利息

まずは、利息です。
どれくらいかというと、調達する金融機関によりますが、金利で約0.5%~3%くらいです。
つなぐ金額と期間(日数)が大きく長いほど、支払う利息額は高額になります。
では、利息を計算してみましょう。

つなぎ融資の利息計算式はこちら
借入金×金利÷365(日)×借入期間(日)


金利は、借入期間中3%として計算します。

・土地購入時

金額:1,000万円
期間:180日(6か月)
利息:約14.8万円(=1,000万円×3%÷365×180)

・建物着工時

金額:600万円
期間:120日(4か月)
利息:約5.9万円(=600万円×3%÷365×120)

・上棟時

金額:600万円
期間:90日(3か月)
利息:約4.4万円(=600万円×3%÷365×90)

利息の合計額は、約25.1万円となります。

3-2.手数料

次に手数料ですが、こちらも調達する先によりますが、11万円(税込)くらいが相場です。
手数料がかからない場合や上の利息なしで手数料が定額で15万円というところもあります。

4.つなぎ融資はどこで借りる?

つなぎ融資の役割やコストについてご理解いただけましたか?
では、そのつなぎ融資の調達先や方法をご紹介したいと思います。
主なつなぎ融資の調達先、方法は以下のとおりです。

    • 住宅ローンと同じ金融機関

住宅ローンを借りる金融機関で住宅ローンとは別のつなぎ融資を利用する。適用される金利は住宅ローンと同じ場合もあれば、店頭金利(優遇前の金利で変動金利で2.475%程度)となる場合もあります。手数料については不要の場合もあります。住宅ローンと同じ窓口なので手続きや融資担当者とのやり取りも容易に進めることができますが、金融機関によっては、つなぎ融資の取扱いがない場合やつなぎ融資の上限額などの条件があるので事前に確認しましょう。

    • 住宅ローンと別の金融機関

住宅ローンとは別の金融機関(主にノンバンク)で調達する方法で、住宅ローンの正式審査の承認(OK)が出たら手続きを開始します。金利は2.5%前後、手数料は11万円程度おなるでしょう。建築を依頼する住宅会社の実績や住宅ローンの金融機関によっては、利用できない場合もあるのでこちらも事前に確認しましょう。

  • 住宅ローンと別の金融機関(住宅会社提携先)

住宅会社の提携先という選択肢もあります。つなぎ融資の金額によって、利息込の定額の手数料タイプや検査機構のつなぎ融資制度を利用できる場合もあります。また、着工金や中間金は不要(実質、住宅会社が負担)という場合もあるので、確認してみましょう。

5.まとめ

いかがでしょうか?
つなぎ融資が必要なタイミングや役割、また利用するためのコストや相談先を解説いたしました。
あなたの場合、「つなぎが必要なのか」「利用できるのか」など事前に確認が必要ですね。
コストもできるだけ抑えたいと思いますので、ご紹介した選択肢の中で利用できる方法を絞っていきたいですね。
住宅ローンや住宅会社が決まっている場合は、各社の融資担当および担当営業に相談しましょう。
まだこれからという場合は、つなぎ融資を含めた資金計画でムダなお金がかからないように進めてください。

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