産休・育休中にもらえるお金と知っておきたい収入の変化

産休中、育休中に給料はもらえない

まず、産休中・育休中は、原則として給料はもらえません。
多くの会社が、産休・育休制度を取り入れていますが、稀に産休・育休中に給料がもらえる会社もあります。念のため、確認すると良いでしょう。

産休とは

正式には、「産前産後休業」といい、 労働基準法第65条で定められた働いているママが健やかな出産、育児を行うための制度のことです。
「産前休業」は、出産を準備するための休業期間(出産日以前42日※)で取得は任意です。「 産後休業」は、 出産後の体の回復を目的とした休業期間(出産日後56日)で、こちらは義務で取得しなければいけません。
※双子、三つ子などは98日

産休は、就業期間や雇用形態に関係なく、すべてのママがが対象で取得することができます。 正社員、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど、どんな働き方でも取得する権利があります。

育休とは

正式には、「育児休業制度」といい、育児・介護休業法で定められている制度です。 育児休業は、パパも取得が可能です。

育児休業も産休と同じく正社員、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど、どんな働き方でも取得することができます。
ただし、取得するためには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 同じ勤務先で1年以上勤続していること(※2022年4月撤廃)
  • 子どもが1歳6カ月(2歳までの休業の場合は2歳)になる日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

このような条件から、育児休業は1年以上同じ会社で勤めた上でこれからも同じ会社で働く意思があることが前提となっています。

ちなみに「育児”休暇”」は法律で定められているいる育児休業とは異なり、企業独自の制度のことで、こちらで解説した育児休業制度とは異なります。

産休中にもらえるお金はいくら?

産休中にもらえるお金にはどんな種類があるのか、いくらもらえるのかについて解説いたします。

出産育児一時金

出産が正常分娩の場合、いわゆる病気ではないため、健康保険 が適用されません。 そのため、保険適用で入院すると3割負担ですが、出産の場合は全額負担となってしまいます。このように出産費用の負担を軽減するために設けられたのが制度が「 出産育児一時金」です。こちらは健康保険からもらうことができます。
出産育児一時金の金額は、子ども1人につき42万円です。双子や多胎児の場合は、人数×42万円が受け取れます。
この出産育児一時金は、多くの場合「直接支払制度」で 本人にかわり医療機関等が健康保険組合に請求するので、窓口での負担は42万円を超えた分のみとなります。
小規模な診療所は助産所等で出産した場合は、直接支払制度が利用できず「受取代理制度」を利用することになります。 受取代理制度を利用する場合には、事前に健康保険組合に申請手続きが必要ですのでご注意ください。

出産手当金

前述したように原則、産休・育休中は給料がもらえません。しかし、その間金銭的な補助として勤務先の健康保険から出産手当がもらえます。

出産手当金は、産前休業の42日と産後休業の56日、合わせて98日間の中で会社を休み給与がなかった期間を対象として受け取れます。なお、出産が予定日より遅れた場合、その日数分も加算されます。
また、受け取れる金額は、 過去12ヶ月の給料(標準報酬月額)を基準とした日給の3分の2に相当する額と定められています。
計算式は、このようになります。

出産手当金= 標準報酬日額×(出産予定日前42日+出産予定日から遅れた日数+産後56日)
標準報酬日額=(支給開始日の以前 12カ月間の各標準報酬月額を平均した額)

【計算事例】
・月給20万円(固定・交通費を除く)
・産前42日と産後56日、合わせて98日間の産休を取得したママの場合
出産手当金 =43万5,512円

[計算式]
標準報酬月額20万円÷30日=6,666円
標準報酬日額6,666円×2/3=4,444円
4,444円×98日=435,512円

なお、出産手当金をもらえる条件は、以下の2つです。

  • 勤務先の健康保険に1年以上継続して加入していること
  • 産休中に給与支払いがないこと

このようにパートや就職、転職したばかりの 人であっても産休を取得できますが、会社の健康保険の被保険者ではなく、パパの健康保険に加入しているパートや1年以上勤続してない人は、出産手当金を受け取れないと言うことになります。 会社の健康保険ではなく、”国民健康保険”に加入してアルバイトをしている人も受給できないので注意しましょう。

育休(育児休業)中にもらえるお金

育児休業給付金

育児休業中は、雇用保険から育児休業給付金を受け取ることができ、受け取るためには以下の条件を満たす必要があります。

  • 同じ勤務先で1年以上雇用されていること(※2022年4月撤廃)
  • 雇用保険に1年以上加入していること
  • 育児休業後も同じ会社で勤続する意思があること
  • 育児休業中、通常受け取る賃金の8割以上を受け取っていないこと

育児休業給付金は、受け取り開始月から6ヶ月までは 月給の67%、7ヶ月目からは月給の50%が受け取ることができます。またさらに、育児休業を延長した場合、延長期間中は月給の50%を受け取ることができます。

1ヶ月あたりの育児休業給付金=
・育児休業開始から6ヶ月
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
・育児休業開始から7ヶ月目以降
休業開始時賃金日額×支給日数×50%

【計算事例】
・産休前月給 20万円のママ
・子どもが1歳の誕生日の前日まで育児休業を取得した
1ヶ月あたりの育児休業給付金
受け取り開始から6ヶ月:13万9,980円
7ヶ月目以降:9万9,990円


[計算式]
受け取り開始(生後57日目)から6ヶ月(生後8ヶ月))
月給20万円÷30日×0.67(67%)=4,466円
4,666円×30日=円139,980円
7ヶ月目から3ヶ月(生後9ヶ月から誕生日前日)
月給20万円÷30日×0.50(50%)=3,333円
3,333円×30日=99,990円

児童手当

児童手当の支給も開始されます。
児童手当は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちに寄与する目的として、子どもを養育するママやパパなどが受け取ることができる制度です。

子どもひとりあたりの受け取れる児童手当の総額は、198万円となり、子育て家族にとっては大変ありがたい制度ですね。

年齢支給月額
3歳未満(3歳になる誕生月まで)15,000円
3歳〜小学校就学前10,000円
(第3子以降は15,000円)
中学生(15歳になった日以降の最初の3月31日まで)10,000円

支給時期はこちらの通りです。

支給月支払月
2月分から5月分6月
6月分から9月分10月
10月分から1月分2月

居住地の役所へ出生届けを提出すれば、その翌月から手当が発生します。請求手続きが遅れた場合は、遡って受け取ることができませんので注意してくださいね。

産休前と比べると収入はどれくら減るの?家計収支のシミュレーション

なんとかなりますよ、と言いたいところですが、その前に家計収支についてみてみましょう!

出産と産後を経済的にサポートしてくれる制度がある一方で、産休前の収入よりも減ってしまうことに不安を感じている方もいらっしゃると思います。
ここでは、どれくらい減ってしまうのか、奈良市在住のシカ子さん(仮名)を見ながら確認してみたいと思います

【事例】
シカ子さん家族のプロフィール
・奈良市在住の30歳/会社員(額面年収300万円)
・夫のシカ夫さんは、30歳/会社員(額面年収500万円)
・来年の1月に第1子を出産予定
・子どもが1歳になったら職場復帰する計画
・シカ夫さんも育休取得予定(生まれてから3ヶ月間)

産休前の収入

まずは現在、産休前の収入について確認してみましょう。

額面収入月給額賞与額(年間)
シカ子300万円22万円36万円
シカ夫500万円35万円80万円

次に額面年収から手取り年収を計算するとこのようになります。
シカ子さんとシカ夫さんの産休前の世帯の手取り年収は、629万円です。

額面年収手取り年収
シカ子300万円239万円
シカ夫500万円390万円
世帯合計800万円629万円

産休中の収入

産休中にもらえるお金は、出産手当金でしたね。
仮に出産予定日に生まれるとして計算すると、出産手当金は、47.9万円となります。

[計算式]
22万円÷30日=7,333円
7,333円×2/3=4,888円
4,888円×98日=479,024円

出産育児一時金については、出産時に医療機関の支払いで相殺されるとして計算します。(収支ゼロ)

育休中の収入

シカ子さんは、子どもが1歳の誕生日の前日まで育休を取得する予定なので、シカ子さんの育児休業給付金は、約135万円です。

[計算式]
月給 22万円÷30日=7,333円
7,333円×0.67(67%)×180日=88万4,359円
7,333円×0.50(50%)×127日=46万5,645円
88万4,359円+46万5,645円=135万4円

また、シカ夫さんは、子どもが生後3ヶ月まで育休を取得する予定なので、シカ夫さんの育児休業給付金は、70.3万円です。

[計算式]
月給 35万円÷30日=1万1,666円
1万1,666円×0.67(67%)×90日=70万3,459円

また、1月に出産してすぐに出生届けを提出すれば、6月に6万円、10月に6万円、合計12万円の児童手当を受け取ることができます。

産休・育休中の収入合計

シカ子さん家族の出産から赤ちゃんが1歳になるまでの収入の合計額をまとめると以下のようになります。
シカ子さんがもらえる出産手当金、2人分の育児休業給付金、そしてシカ夫さんが復職してからの給与(月収9ヶ月分と賞与)を合計すると、世帯の収入額は568.2万円となります。なお、出産手当金と育児休業給付金は、非課税なのでそのままの金額が手取り額となります。
シカ子さんが1年間、シカ夫さんが3ヶ月間、仕事を休んでも556.9万円の収入が確保できることはすごいことですよね。経済的補償がとても手厚いことがよくわかります。

 出産
手当金
育児休業
給付金
給与
(手取り)
児童
手当
シカ子47.9万円135万円
シカ夫70.3万円303万円12万円※
世帯の収入額568.2万円

※児童手当は、シカ夫さんが受け取ることとしています。

育休前と出産後の収入の差は?

では、産休前の収入と産休・育休中の収入を比較してみると、差額は60.8万円となりました。
産休前の収入と比べて、1割弱減ったことになりますが、いかがでしょうか?

産休前の
1年間の収入
629万円
産休・育休中の
1年間の収入
568.2万円
差額−60.8万円

それぞれの収入を分解すると、
シカ子さんの手取り239万円→182.9万円(−56.1万円/−23.4%)
シカ夫さんの手取り390万円→385.3万円( −4.7万円/−1.2%)
となって、育児休業期間が長い、シカ子さんの収入減の影響が大きいですね。

「年間 60.8万円減」は、大きい、、(涙)という方もいれば、思っていたよりも大丈夫そうと感じ方が別れるかもしれませんね。

あわせて考えておきたいことは、上記の収入減に加えて、出産や子育ての支出が増えることです。
出産前後に必要なマタニティ・ベビー用品の費用が50万円、赤ちゃんが1歳になるまでの生活費や保険、食費などに必要な費用が93万円、これが平均的な金額となっています。


それから、シカ子さんは住民税、約11万円を納付する必要があります。
いつもは給料から天引きされている住民税ですが、育休中は給料が支払われないので、自分で納付(普通徴収)する必要があります。今回の例だと、昨年(1月〜12月)の収入から住民税額が決定されて6月頃に納付書が届きます。

これらの支出を含めると、出産から赤ちゃんが1歳になるまでのマイナス額は、214.8万円(60.8万円+50万円+93万円+11万円)となり、家計になかなかのダメージを与えそうです。
出産までにその214.8万円を用意しておくか、親からの援助など上記以外の収入アップを見込んでおかないと、やりくりに困ることになるかもしれません。

育児休業は、保育園に入所できない場合や夫(妻)の死亡、病気、ケガなどの理由がある場合、子どもが1歳6ヶ月まで延長が可能です。そして、延長しても保育園に入所できず、仕事に復帰できない場合は、再延長で最長2年まで育児休業を伸ばすことができます。
働くママにとっては、とてもありがたい制度ですが、家計がさらにマイナスになることは避けられません。また、気が早いですが、出産後にめでたく第二子を懐妊すれば、さらにマイナス期間が延びることも考えられます。

産休・育休中にマイホームを検討するときに考えたいこと

さてここまで、産休・育休中にもらえるお金と収入の変化やその影響を解説いたしました。
はじめての妊娠・出産であれば、わからないことも多い中、なおさらお金の心配ごとは避けたいところですが、このタイミングでマイホームを検討される方にお伝えしたいことがあります。

「家を買ったタイミングに関する意識調査2021年11月(株式会社AlbaLink)」によると家を買ったタイミングは「妊娠・出産」と回答した方が最も多く、その理由は以下の内容でした。

  • 子どもが生まれると車の移動が増えるので、駐車場が敷地内に欲しかった(20代女性)
  • 子ども部屋やお風呂に十分な広さがないと狭いため(20代女性)
  • 子どもの泣き声や足音などで迷惑になってしまうと思い、一戸建てに住みたかった(30代女性)

まだ妊娠したばかりでピンと来ない方もいれば、わかる!と共感される方もいると思います。
妊娠〜出産〜育休復帰までの収入の変化が、家計にどれぐらい 影響があるかを知っていただいた上でマイホーム購入を検討する場合、注意しておきたい点をご紹介します。

  • 妊娠、出産で家計がそこそこの金額がマイナスになること
  • マイホーム購入には頭金や現金で用意しなければいけない支払いがあること
  • 賃貸とは異なり、ローン返済以外にも必要なお金があること
  • 子供が生まれると家計が変化し、これまでと同じようにはいかないこと
  • お金や家購入の目的を”今だけ”で判断しないこと

つまり、お金の計画なしに早まってマイホーム購入を急いではいけないということです。
お二人がしっかりと稼げる力(所得や勤務実績など)があれば、住宅ローンの審査は簡単に通ってしまいまし、マイホームを売りたい業者は1日でも早く契約をしてほしいものです。そして、あなたも早く新居に住みたい!
想像している以上に、マイホーム購入はスピーディーに進んでいき、あっという間に住宅ローンの支払いが始まってしまいます。
家を買った後に、子育てや老後のお金を準備しながらこの先、ローンを払っていけるのかなと不安になっても後の祭りです。

何よりもまずは、お金の計画です。
はやる気持ちを少し抑えて、「あなたが買っても大丈夫なマイホームにかけて良い金額」することからはじめましょう。

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